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インタビュー

ヘンプナビ創設者が語る、CBDブランドに込めた想いとこれまでの挑戦
2025.01.28
ヘンプナビ創設者が語る、CBDブランドに込めた想いとこれまでの挑戦

ヘンプナビを始めたきっかけ

 

わたし自身がCBDを知ったのは2014年のことです。

友人から、筋ジストロフィーという疾患を患っていることを打ち明けられました。筋ジストロフィーは筋肉が徐々に弱っていく難病で、現在でも根本的な治療法はなく、対症療法を行っていても精神的・身体的な苦痛を伴うつらい病気です。

何でもいい、自分に役に立てることがないかと思いました。調べているうちに、ヘンプから精製されたCBDという成分が様々な疾患を抑制する可能性がある、という主旨の記事を見つけ、初めてCBDという言葉を知ります。難治性疾患のケアに役立つとされていたり、がんを克服するために使用していることを知りました。これが、わたしがヘンプに関わることになったきっかけでした。

 

「えっ!?」正直なところ、わたしはまず驚きました。

 

一昔前の教えで「大麻は危険」という教育を受けて育った私としては、多くの人がそうであるように、ヘンプに対して偏った認識をもっていました。ヘンプと言われても、薬物としての大麻のイメージがどうしても付随するのです。

他の友人にCBDの話をしても「えっ!?大麻!!やめたほうがいいよ、怪しいことを言わない方がいいよ」という反応しかありませんでした。

 

きっと世界中から誤解されている可哀そうな植物なんだと思いました。

 

自身がダメだと教えられた植物が、新しい解決策になるかもしれない。まさに今病気で苦しんでいる人の役に立つかもしれない。その興奮と期待から、輸入をしようと決心しました。わたしが始めてCBDを輸入販売するきっかけを作ってくれたブルーバードボタニカルズ創設者Beatty、彼には感謝しています。

 

           

目次

-ヘンプナビを始めたきっかけ

-ヘンプナビとは?

-CBDの有用性

-大麻とヘンプの違い

-日本で売る難しさ

-安全性がとにかく重要

-輸入するブランドの選び方

-ヘンプナビに日本のCBDブランドがない理由

-よくある質問

 

ヘンプナビとは?

 

2016年ごろ、当初全くと言っていいほどCBDや食用ヘンプが普及していない日本で、その偏見・誤解を解きつつ「日本でも安全にCBDを手に入れられる場をつくりたい」「情報の少ないヘンプやCBDの正しいナビゲーションをしながら、健康で悩む人を助けたい」そんな想いで作ったのが「ヘンプナビ(Hemp Navi)」です。

ヘンプという閉鎖的な分野において、新たな道を切り開いた世界中のCBDブランドの製品を取り揃えています。

 

実際当時の日本では、CBDに取り組む企業はほとんどなく、わたしが最初に日本でCBD販売を目にしたのは、当時「あさやけ」の白坂さんという方がネット販売していたアメリカのメディカルマリファナ社が展開するディクシーボタニカルズくらいでした。それからHempmeds(ヘンプメッズ)、2013年にデンマークで誕生したENDOCA (エンドカ)、Bluebird Botanicals(ブルーバードボタニカルズ)、エリクシノールなど、それでも片手で数えられる程度でした。

 

 

CBDの有用性

 

CBDの有用性は多岐にわたります。

 

人間を含むほぼ全ての哺乳類がエンドカンナビノイドシステム(内因性カンナビノイド系=Endocannabinoid system、略してECS)という身体調節機能を持っています。食欲、痛み、免疫調整、感情制御、運動機能、発達と老化、神経保護、認知と記憶など、あらゆる生命機能を機能させる装置*であり、CBDはこれに作用します。すなわち、CBDは全身の不具合に効果を示すということになります。

 

最近の研究*では、外部からの強いストレスを受けたり、加齢に伴う老化によってカンナビノイドシステムの働きが弱り、「カンナビノイド欠乏症」になるとされています。その結果様々な疾患(アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、精神的な病気、緑内障、妊娠中毒症、線維筋痛症など)を発症する可能性があることが明らかになってきました。

 

*神経学者のイーサン・ルッソ博士が、カンナビノイド欠乏症(ECS)によりいくつかの疾患が起こるという仮説を発表し、その後研究が盛んになりました。

 

実際のお客様の声をきくと、睡眠に関する悩みストレス生理痛などの痛みに関する悩みホルモンバランスの変化に敏感な方、不安などの精神的な悩みに対して使用している方が多い印象です。

中には癲癇(てんかん)を患っている、あるいはペットが癲癇(てんかん)を患っているというお客様が発作の抑制に役立てられているケースもあります。

癲癇(てんかん)もまた、対処できる方法がほとんどない非常に難しい病気なので、解決の糸口を探されている方は少なくないと思います。

 

下の図はアメリカの医師向けに使用されている指標です。

外側の輪は疾患の種類、各疾患に対してどのヘンプ由来成分が効果を発揮するかがその内側に示されています。

 

CBDが有効とされる症状は、拒食症をはじめ、糖尿病や躁鬱病、てんかん、アルツハイマー、偏頭痛、不眠症など、多岐に渡ります。

 

2018年にWHO世界保健機構が成分の有効性を示唆したことで、欧米を中心に世界中で大麻やCBDの医療的アプローチ、研究が盛んに行われるようになりました。医薬品として認可した国もあります。例えば、ヘンプナビでも取り扱っているHempMeds(ヘンプメッズ)のCBDオイルはメキシコ政府が公認し、保険適用もされています。

 

大麻とヘンプの違い

 

大麻はたくさんの品種がある麻の総称ともいうべきでしょう。

 

日本で麻薬取締法の対象となっている大麻はマリファナ(Marijuana)とも呼ばれ、いわゆる精神作用のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分を一定以上の割合で含む花穂・葉などを指します。

 

ヘンプ(Hemp)やリネン(linen)も麻の一種ですが、繊維製品をつくる原料としての麻、七味唐辛子やオイルなど食用として利用する原料としての麻を指します。

実は「マリファナ」は嗜好品としての俗称で、現在は用途が多岐に渡る(嗜好用、医療用、食用など)ため、最近では誤解を避け、総称としてヘンプとも呼ばれます。

 

どちらも大麻と呼ぶことはできるのですが、合法か否かは製品のTHCの量や使用部位から判断されます。

CBDオイルの原料であるヘンプにも当然THCをある程度含有しているので、ヘンプナビが取り扱うCBDも、日本に輸入する際に成分審査を通ります。基準値は国によって異なるためです。

 

通常嗜好用のマリファナ製品はTHCが多く含まれるよう品種改良された麻を使用しており、ヘンプやリネンはいわば原種、本来の麻を使用しています。実は見た目にも大きな差があります。

日本で売る難しさ... どうやって始めたか

 

輸入を決意したのはいいものの、日本での認識で麻は大麻と大きくは違いがありません。」果たして合法性を証明できるのか、まず日本で店舗販売すらされていないし、そもそも私が何かを輸入・販売した経験もありません。前途多難です。

 

そこでどうやったら輸入し販売まで至ることができるのか、まず大麻取締局に赴き、分からないことを関係各所(厚生労働省麻薬対策課、関東甲信越麻薬取締部、税関、最寄の警察、弁護士事務所云々...)に電話で問い合わせ門前払いされるところから始まり、約1年間の格闘の末、かくかくしかじかで現在に至ります。

そもそも日本にCBDを受け入れる体制が構築されていなかったのです。

とても長く細かい話になってしまうので、詳しくはいつか別の記事で書いてみようと思います。

 

 

安全性がとにかく大事

 

わたしが特に重要だと掲げていることの1つに「安全性」があります。

 

「大麻=向精神作用のある違法薬物」

CBDの原料がこの「大麻」という大きなくくりの中に入れられたまま、今も怪しい目を向ける人がいます。残念ながら、当然です。

 

わたしが真っ先に大麻取締局に赴いたのも、この問題をクリアする必要があると考えたからでした。自分で調べた限りでは、CBDきちんと証明すれば提供できる安全なものであると分かっていました。

この「安全なもの」とは、「違法薬物ではない、危険な作用がない」ということを意味します。

加えて、品質的な意味での安全性がとても重要です。

 

原料のヘンプという植物は土壌をきれいにするファイトレメディエーション(植物による浄化)と呼ばれる作用を持ち、特に有害な重金属や農薬、除草剤などを吸収し、茎や葉、花に蓄積する性質があります。

1986年のチェルノブイリ原発事故後には、土地の浄化を目的として放射性物質を含む土壌にヘンプが植えられました。

ですから、体内に入れるヘンプは栽培する土壌がとても重要だと私は考えています。

 

近年オーガニックという言葉が目立っているように、本来植物を圧搾して精製するエキスは土壌がどのような状態なのかがとても重要です。

例えばヘンプタッチのヘンプ農場は、有機農業生産基準を査定するオーガニック農法検査官が畑の土壌を管理していたりします。

透明性を重視して、ヘンプナビでは自社でヘンプの栽培から製品化まで行っているCBDブランドを優先的に取り扱うことにしています。

 

 

今ではCBDというものが世の中に1~2割程度は普及されましたが、「CBD=大麻」といういわば悪のイメージが先行してしまう風土があるこの国においてどうやってお客様の信頼を得られるのかと自問自答した結果、品質管理が一番厳格であり、絶大な信頼を得ている百貨店にお店を構えることで悪のイメージを乗り越え、正しくお届けできるという結論に至りました。

 

そして、2020年に審査のことさら厳しい新宿伊勢丹に直営店を構えることができました。大手百貨店に認められていること、直接ご説明する機会があることは、お客様に安心して頂くためにも大切なことだと思っています。

 

 

輸入するブランドの選び方

 

わたしは、生産者の方々のCBDに対する想いを重視しています。

現地まで直接会いに行き、どういう人たちが、どういう想いで製品を作っているのかを肌で感じて、うん、と思えたものだけを取り扱うことにしています。

 

最初に扱ったブランド Bluebird Botanicals

 

2016年にアメリカ・コロラド州に本拠地を構えるブルーバードボタニカルズのCEO Beattyに出会いました。現地で話を聞き、CBDのある世界にふれ、色々な情報をアップデートすることができました。意気投合したのち、日本の総代理店としての活動をスタートしました。

2018年にアメリカのヘンプ農法の改正が行われた影響により、日本の基準をクリアすることができなくなり、2年程のお付き合いになってしまいました。

その流れで当時ブルーバードボタニカルズのCBDエキスは実はエンドカから輸入していることを教えてもらい、エンドカ社を紹介していただき、のちに正規輸入代理店の契約を行いました。

また、CEO Beattyはヘンプメッズで働いていた過去もあり、当時アメリカ国内のCBD市場を設計していたヘンプメッズも紹介してくれ、国内の取扱いを始めることができました。

 

その次に出会ったブランド hemptouch

 

世界中のCBDブランドをリサーチした末に、ヘンプタッチと出会うことになります。

当時CBDを使用したスキンケア製品を展開しているのは、調べる限りヘンプタッチしかありませんでした。自分自身も思春期から肌トラブルで悩んでいたので、一度連絡してみました。最初はメールでのやり取りでしたが、だんだん興味が湧き、スロベニアにある現地に行きたいと伝えたところ、二つ返事で歓迎され、未知の国に足を踏み入れました。

 

そこで創始者のマルコとシルヴィアと出会い、CBDが肌にもたらす効果などを詳しく教えてもらいました。CBDという成分だけではなく、スキンケアに使用する水をヘンプの茎から蒸留したものを使っていたりと、また製品開発の探求心に感銘を受けたことで、この素晴らしい製品を日本で売ることを決意しました。